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名前と言霊について

 2019年5月1日、「令和」の時代となります。さまざまなところでこの話題は見られますが、昨日まで見たことも聞いたこともない二文字が、突然すべての国民が一斉に利用する、大切な言葉になるのですから、これはもう一大事でしょう。

 

 今回は令和にちなんで「ネーミング」のお話しをしてみたいと思います。

 

 名前というのは元号に限らず、子供の名前や、会社名、お店の名前など、生活の中でとても大切な役割をしています。

 自然の中の植物や動物などにも名前があり、私たちは名前によってそれぞれの存在を認識しています。これには面白い側面もあって、私たちは「名前」を知ることによってそれらを「知ったつもり」になっていますが、実際は存在の実態は理解していないということ。「この花、なんていうのですか?」、「それはタンポポです」。「へー、そうなんですね」……これでイメージとしての「タンポポ」は出来上がりましたが、その生態まで理解する人は多くはないでしょう。

 それが社会にも当てはまります。

 そしてそれがほとんどの社会生活を作り上げているのですからネーミングというのは大切です。

 何しろ、名前によってイメージが出来上がってしまうからです。

 

 学報冒頭のコラムでもちょっと触れましたが、名前には「言霊」があります。

 この「言霊」には三つの意味があります。

 

①表記そのものが発する意味

②発音した人のエネルギー

③相手の受けた印象……です。

 

 ①は、象形文字からくる印象や、漢字などに代表される文字そのものが発する意味があります。

 ②は、それを発音した人の想い、感情です。言葉にはそれを発した人のエネルギーが乗ります。そして相手に伝わります。

 ③は、その言葉を、見たり聞いたりした人が受ける印象と、その印象から発せられるエネルギーです。

 

 このように文字や言葉には、人のエネルギー交換があり、それが相互に作用して雰囲気と印象を創ってゆくものなのです。

 ですから、お店の名前や、会社名は大切です。ましてや人の名前も、その人を「識別」するだけでなく、その名を呼ぶ人の感情も入りますので重要です。

 

 よく店舗名や会社名、子どもの名前などの命名を依頼されることがありますが、基本的には、まず「親やオーナーさんが呼びたい名前」を選んでいただくことにしています。ネーミングには本人の「想い」が乗るからです。私は、その候補の中から本人に発音していただき、その響きと印象をリーディングし、それを聞いた人の印象を読み取ります。自分が呼びたい、命名したいというだけでなく、聞いた相手の印象がそのネーミングされたものや人に戻ってきますので、そこを考えます。

 

 最近、子供たちの名前に「キラキラ・ネーム」というのがあります。呼びたい名前と文字の印象で考えたものなのでしょう。別に異論はありませんが、③も考えていただけるといいなと思います。ネーミングの言霊は、相手の受ける印象も大切だからです。