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政治家のいない社会 宗教のない世界

 いよいよ政治が危険水域に入って来た感があります。内閣のことではありません。政治全般のお話しです。

 特定の宗教団体との不健全な癒着や、閣僚や政務次官の相次ぐ不祥事での辞任。ここのところではパーティー券販売での裏金作りが騒がれ、政界に激震が走りました。中には財務副大臣が度重なる税金滞納をしていた……など、議員資格以前の人間性を疑うような事例もありました。

 

 「そんなの昔からじゃない?」。

 

 そんな声も聞こえてきますが、国民も不正に「慣れっこ」になってしまい、感覚が鈍っていることは反省しなくてはいけません。これだけでなく、政策もタイムリーではなく不評を買っています。

 そしてそれ以外にも問題なのは、政権与党がここまで堕落していても、野党への期待値が全くと言ってよいほど上がらないこと。「政権」末期と言うより、「政治」末期と言って良いくらいでしょう。

 

 政治の問題は日本だけの問題ではありません。

 世界においても昨今、新しく生まれる指導者の多くは「内向き、自国ファースト」の政策を掲げて当選しています。

 世界においては、私たち日本人が考えるような「民主主義国」は多勢ではなく、非民主主義の方が多いくらい(註1)なのですが、その代表格である中国、ロシアの政治は一人の政治家の治政を長年続けられるように法改正が進んでいることは皆様もご存知の通りです。独裁が進んでいます。

 民主主義も非民主主義も、その政治システムに限界が来ているのではないでしょうか。

 

 こうなってくると、私たちも政治システムを考え直さなくてはいけなくなるでしょう。いっそのこと、この際、政治家という仕事!? システム!? を無くしてしまったらどうでしょうか。

 

 つい最近、アメリカのオープンAIという会社が物議を醸しました。CEOが突然解任され、マイクロソフトに移ることになったら、オープンAIの社員がほぼ全員辞めると言い出して、今度は逆に解任を言い出した経営集団が追い出され、CEOが返り咲く……というお家騒動でした。そして返り咲いたCEOはAGI(註2)の開発を発表しました。AGIについての賛否はまだ世界中で議論中であり法整備もなされていませんが、これが実用化されたならさまざまな情報を入力し、立法する機能を持たせ、政治を任せ、国民は不便を感じたり、必要な法制を求めたりする場合、スマホから政府のシステムに要望をアップし、それをAGIが順次取り上げ、最適解を選ぶというシステムが成り立ってしまいます。これなら「自分ファースト」の政治家に任せるより余程クリーンで平等な政治になるかも知れません。

 

 誰もが争いは嫌なのに、未だに戦争もなくなりません。

 学長コラムにも記したように、その大きな要因に「宗教」があるのは紛れもない事実でしょう。私は「自然を尊敬し、畏敬の念を払う」、「未知のものに心惹かれる」というような信仰心を否定するつもりは全くありませんが、これらは盲目的に信じ込むのではなく、探求するものだと考えています。ですからこれは「個人の心」にあるものであって、集団的勢力を持って行うことではありません。ですから人類が宗教に対する考え方を変えた時、戦争の大きな要因の一つがなくなる可能性があります。

 

 AGIが政治をすることや、信仰心が蔑ろになることを希望しているわけではありませんし、そうなって欲しいとも思いません。その為には、早く政治家や宗教家が本質的なことに気づき、本来の仕事をしていただきたいと思っているのです。

 

 皆さんは、「政治家のいない社会、宗教のない世界」をどう思いますか。

 そんなあなたの創造力が、現状をより良い方向に導くヒントを生むのだと思います。

 

註1:2019年にスウェーデンの調査機関VーDemの調査が、世界の民主主義国・地域が87カ国であるのに対し、非民主主義国は92カ国となり、18年ぶりに非民主主義国が多数派になったという報告を発表。

註2:Artificial General Intelligence(汎用人工知能=人間の脳の働きに近づける人工知能)