菊地トオル・ロング・インタヴュー


第五回:チャネリングから勉強会の設立へ

 

Q:著作「2003 年宇宙転生の黙示録」の中で書いている宇宙との交信の経験っていうのは、もうその前からあったのですか。

 

菊地:ええ、一番初めに自分自身が特殊な能力に気付いたのが1983年で、それからずっと交信があります。それをジグソーパズルのように組み立てていったら、うまく1つの理論ができあがった。それがアカデミー発足数年前のことです。

そして、その後には実践で確かめていった時期がありました。その時悩んだのが、これは世間で言われるような、神からの使命を受けてこれをやっているのかどうか、それとも人間の能力なのか。最初の頃は、会う人会う人ほとんどに「あなたは神様に選ばれたのだから頑張らなくては」といわれました。その結論は、ある程度早い時期からわかっていたわけですが、自分で実証したくて、それに時間がかかったということですね。あとは宗教ブームが盛り上がってきて、目に見えない世界のことで好き勝手なことをいう人間が増えたと(笑)。そのために我々は確固たるものを後世に残したいという、大きなことを言えばそういう決意のもとに始めたということです。ですからチャネリング現象は、すでにもっと前にあったということです。

 

Q:それが体系立ってきて、協会(心の開発協会=未来創学アカデミーの前身)を作ろうと思った、ということで宜しいのでしょうか。

 

菊地:ええ、基本的にはそうですね。

 

Q:ただ感覚的に宇宙からの交信を受けていただけでは、そういう勉強会を作ろうとは思わなかったかもしれないということですね。

 

菊地:そうですね。でも、最近でもいろいろ注意をされるんですけれども、団体を作るのは失敗だという人も多いんですよ。真理を探究するのは団体じゃないんだ、とね。それはある意味では確かにそうかもしれない。今まで間違いを犯す団体が多かったということは事実としてあります。お金儲けを主体にしたり、テロ的な社会改革をしたい…とか。だけど、こういう言い方をすると「あなた達だってそうなる可能性はあるじゃないか」とおっしゃる方もいる。そう考える人もいるかもしれない。「単に人数を増やすことを目的とした団体の弊害」っていうのは、私もよく理解しています。だからこそ我々は、ある意味では「学校」だという考え方が最初からあるから、やはりこれは布教とかそういう人数を増やすことを中心に行動することよりも、興味を持った人が入学して、そして勉強し自分の人生に生かすという、そういうシステムを作りたかったっていうことなのです。

 

Q:心の開発協会発足に当たって学長が失敗だったかなと思ったことは、「宗教団体と同じように思われたくない」ということを意識しすぎたと…。

 

菊地:そう。宗教団体には信者拡大のシステムがあります。それをなぞれば組織が広がることはわかっていたわけです。しかし敢えて我々は宗教と一線を画すために、それをやらなかったってことが欠点だったとも云える。PRに対して臆病になります。それは内容に自信がないという意味ではなくて、「宗教団体と同じ間違いを犯したくない」と意識し過ぎたということです。だから今となってみれば反省もありますね。そんなことを意識する必要はなかった。何故かと言えば自分たちが確固たる真理を見抜いたなら、結局中身はまったく宗教と違うのだから意識する必要もなかった。だからPR手法なんてどうあってもよかったということです。人間社会の中で、システムって呼べるものはそう沢山ないわけですし。だから、布教とか集金システムに結び付けないようなやり方で、既存の手順を活用すればよかったなあ…と(笑)。

教科書も整備すべきだったし、きちんとしたカタチで用意すればよかった。今は少しずつ教材も作り始めているけど、初期の頃は「言いっぱなし」のセミナーでしたからね。システムが宗教団体的になるのがいやだったから。だから「興味のある人この指とまれ!」みたいなカタチで、面白い話をしていただけだった。だから聞いて面白かったけど、家に帰ると復習が出来ない!(笑)。

私が心底信じたいのは、進化に向かって進んでいる人類の判断能力です。

そろそろ人類も真贋が見分けられる進化段階に入ってきた。宇宙に広く視野を広げる時期が来たと感じています。

 

Q:でも、集団にした途端にいろいろな人が集まって来ちゃいますよね。

 

菊地:当然、そういう弊害っていうのは出るでしょうね。ただね、主宰者として誇りを持って言いたいのは、それを主宰者が見抜けるかどう

か。誇りを持ってこう言うしかないと思う。でも幸いながら今、未来創学アカデミーというのは、学校的な良いカタチで進んでるから、集金のために組織を広げようとか、単に人数を増やすことを目的で広げようという人間がいない。だから今のところ満足はしています。まあ確かにそれが何万人となると当然欲の絡んだ人間が出るでしょうね。その中でいかに私がお金に目が眩むまないかというのが一つの大きな試練になるのかもしれない(笑)。 

 

Q:それは本当に大変なことだと思いますよ。いろいろな意味ですごく人間的な問題だから。

 

菊地:ええ。やっぱりそこは組織の有り方ですね。だから、未来創学論という勉学を教えるための組織、つまり学校だと考えれば比較的良い方向に向かうと思います。私立の学校だってほとんどそうでしょう。少なくとも金儲け以上の理想を求めてやってる人たちが多いんだろうと、私は素直に考えたい。

 

Q:つまり健全なスクール形式を取ることで、決して「儲け主義」ではないよ、ということを明確にしておくということですね。

 

菊地:ええ。最初の「心の開発協会」という名前にある通りにね。人間の閉じていた心を開きたいという意図は名前が「未来創学アカデミー」に変わっても未だに持ち続けています。だから、他の多くの超能力者方みたいにタレントとして個人を世に売り込むという意図はまったくないんです。あれば、私は始めからこのようなことやらないですよ。自分を、「菊地トオル」という人間をメディアでどんどん売ればいいわけだから。しかも、そのやり方だったら、この5年の間にいくらでも他のことが出来ただろうと思うけど、でも私の目的はそんなことではないから。私が未来創学アカデミーを発足させた目的、つまり私が出した結論というのは、「人間は隠れた能力、素晴しい能力をもっている。そして宇宙的な宇宙転生という一つの契機が来ている。その事実を人間は知るべきだし、自分の潜在的能力を使うべきだ」ということなんです。 だからこそ「早く皆さんに私と同じ手法を知り、身に着けていただきたい」と。このことが第一なんです。ですから1991年の1周年を契機に心の開発協会から「未来創学」へと名称を変えたのは、宗教的な組織であるという誤解を受けないためであり、未来を創る一つの学問だということ、「未来を創造する新しい人間学」だということをより明確にするための衣替えだったんです。当時の、いわゆる有識者の方々に広く意見を求めたら、未来を創る学問という新しい分野として挑戦しなさい、という意見を多くいただいたんでね。名前のつけ方にもひとつの我々の行き先が色濃く現れているんだろうなあと思います。(第六回へ続く)